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反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS療法)とは

反復性経頭蓋磁気刺激療法(rTMS療法)とは、微弱な電流(渦電流)により脳の神経細胞を刺激して脳機能を調整する治療方法です。TMS装置は、神経の検査機器として承認を受けていますが、パーキンソン病や脳梗塞などの治療にも研究的に応用されています。

精神科領域では気分障害の安全な治療法として現在世界各国で研究されており、アメリカ・カナダ・オーストラリアなどでは、以前からうつ病に対する治療法として保険適用の対象となっていましたが、日本では2019年6月より保険適用となりました。

rTMS療法の効果

rTMS療法により、抗うつ薬で十分な効果が得られない患者さんの3~4割に症状の改善が認められると報告されています。

rTMS療法の副作用

頻度の高い副作用として、頭皮痛・刺激痛、顔面の不快感、頭痛などがあります。ほとんどが刺激中に限定した副作用で、刺激強度を下げたり、慣れの効果によって軽減されます。極めてまれですが、重篤な副作用としてはけいれん発作が挙げられます(0.1%未満)。うつ病に対する治療法の一つである電気けいれん療法と比較して安全性や忍容性が優れていると言えます。

rTMS療法の適応

以下の項目に合致する18歳以上の方が対象となります。
定められた講習会を受講した、精神科専門医が判断します。

  • うつ病(大うつ病性障害)の診断を受けていること
  • 抗うつ薬による適切な薬物療法で十分な改善が得られていないこと
  • 中等症以上の抑うつ症状を示していること

上記の項目を満たしていても、日本精神神経学会が定めた適正使用指針(rTMS療法を行う際のルール)に基づいて、担当医師が適応外と判断した場合は、rTMS療法をお断りすることや、途中で終了することがあります。また、双極性障害(躁うつ病)や切迫した希死念慮を認める場合等は適応になりません。

rTMS療法が禁忌となる患者様

1.絶対禁忌

以下の項目に該当する場合はrTMS療法を受けていただくことができません。

刺激部位に近接する金属(人工内耳、磁性体クリップ、深部脳刺激・迷走神経刺激などの刺激装置)、
心臓ペースメーカーを有する方

2.相対禁忌

以下の項目に該当する場合はrTMS療法が適応となるか慎重な検討が必要となります。

  • 刺激部位に近接しない金属(体内埋設型の投薬ポンプなど)、頭蓋内のチタン製品、
    あるいは磁力装着する義歯・インプラントを有する方
  • てんかん・けいれん発作の既往
  • けいれん発作の閾値を低下させる薬物(三環系抗うつ薬、マプロリチン、テオフィリン、メチルフェニデート、ケタミン、クロザピン、ゾテピンなど)の服用
  • アルコールやカフェイン、覚醒剤等の乱用・離脱時の方
  • 妊娠中、重篤な身体疾患を合併する場合など

なお、当院は一般病院ではありませんので、相対禁忌に該当する患者さんのrTMS療法を実施することはできませんので、どうかご了承下さい。

精神科医療機関にかかっていない場合

rTMS療法は精神科医療機関において専門的な抗うつ薬の治療を受けているのに十分な治療効果が得られない場合に適応となる治療です。従って、現在精神科医療機関にかかっていない方は対象となりません。まずは、地域の精神科医療機関を受診して下さい。その上で、うつ病の診断を受けた場合には抗うつ薬による治療をお受けいただいた後にrTMS療法について再度ご検討ください。
また、うつ病と診断されたが、抗うつ薬は使用したくないという方も対象外となります。ただし、副作用等の問題により抗うつ薬による十分な薬物療法が行えない場合は、本治療の適応となります。

実際の治療

最初に刺激部位と刺激強度を決めてから、治療を開始します。患者様には約40分間専用の椅子に座っていただき、左前頭部に治療コイルを設置します。治療中は訓練を受けた医師や医療者がそばで見守っています。毎回の治療前後に医師の診察があります。 保険診療では、rTMS療法に関する講習を受けた日本精神神経学会認定の専門医の指導のもと、1日40分、週5日、3週から6週にわたるrTMS実施(治療クール)が認められています。治療クールの終了については、有効性、安全性に基づいて医師が判断いたします。治療に反応しない場合は早期(3週)に終了することもあります。

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